骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は、老化などが原因となって骨量が減少し、骨がもろくなって骨折リスクが高くなってしまう状態です。骨に含まれているカルシウムやマグネシウムなどのミネラル量は、20~30歳頃の若年期をピークに、年を重ねるとともに減少していきます。この骨密度が減少をきたすことによって骨粗鬆症となり、背骨が体の重みでつぶれたり、背中が曲がったり、変形による圧迫骨折をきたしたり、ちょっとした転倒で骨折するといった事態を引き起こしがちになるのです。
中高齢の女性に多く見られます
ご承知の方も多いと思いますが、骨粗鬆症は高齢の女性を中心に増加の一途をたどっています。女性ホルモンの分泌が低下する更年期以降には、骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きが鈍くなるため、骨形成が追いつかず、骨がもろくなってしまうのです。閉経を迎える50歳前後から骨量は急激に減少し始めるので、その前に一度は骨粗鬆症の精密検査を受けるよう、お勧めいたします。
このような方は骨粗鬆症の検査を
- 50歳以上の女性で痩せている
- ご家族に大腿骨骨折をした方がいる
- 煙草を吸っている
- ステロイド薬を使用中の方
- お酒を大量に飲まれる方
- 糖尿病の方
- これまでに過度の食事ダイエットをされたことがある方
など
早めの予防と治療が大切です
骨粗鬆症は年を経るにつれてリスクが高まってきますが、食生活や運動などの生活習慣を見直すことにより、予防と改善が可能です。骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質、骨のリモデリングに必要なビタミンDやビタミンKを積極的に摂るようにしましょう。カルシウムは食品として700~800mg/日、ビタミンDは400~800IU/日、ビタミンKは250~300μg/日を摂取することが推奨されています。これらの摂取量を目安にしながら、バランスの良い食生活を心がけてください。
また、運動療法も大切です。骨は運動をして負荷をかけることで増え、より丈夫になります。さらに、筋肉を鍛えることで体をしっかり支えられるようになったり、バランス感覚が良くなったりし、ふらつきが少なくなって転倒防止にもつながるため、運動療法は骨粗鬆症の治療に欠かせません。ジョギングやエアロビクスなどの軽い運動を毎日続けるようにしましょう。仕事などが忙しくて毎日行えないという方は、ちょっとした散歩でもよいですから、とにかく長く続けてください。運動量を少しでも増やそうとする心がけが大切です。
骨粗鬆症の薬物療法について
病状が進んだケースでは、薬物療法も必要となります。現在、使われている薬には、骨の吸収を抑える骨吸収抑制剤、新しい骨を作りやすくする骨形成促進剤、骨の栄養素を補充するビタミンD製剤やビタミンK製剤などがあります。また、腰や背中などに痛みがある場合は、痛みを取る薬も用いられます。どんな薬を選び、いつから治療を開始するかについては、個々の患者様の年齢や症状の進み具合などを考え合わせながら、医師が判断いたします。