小児整形外科について
小児整形外科は成長期にあるお子様を対象とした専門診療科です。この時期は身長や体重が増えていき、骨や筋肉などの運動器が急速に発達していきますので、大人とは異なった病気や怪我がよく起こります。また、生まれたときから手や足が変形していたり、関節が思わぬ方向に可動したりして、歩行に支障を来たすこともあります。当院の小児整形外科では、発達段階にあるお子様の状態を踏まえながら治療を進め、後遺症などが生じないよう対応いたします。明らかな障害だけでなく、運動器に関して保護者の方が何らかの疑問を感じたときは、お気軽にご相談ください。
地域に密着した医療を目指していきます
院長 福岡昌利は、2年半ほど成育医療研究センター整形外科で研鑽を積み、その後さいたま市立病院で8年間小児整形外科の治療に携わってきました。WEBなどで情報がたくさん得られる時代、お子様のことで心配になることも多いと思います。小児整形外科に携わってきた経験を元に地域に密着した相談しやすい医療を目指していきます。
小児整形外科の主な疾患
O脚
右足と左足の間の隙間がアルファベットのO(がに股)になっている状態です。2歳くらいまでは多くの子どもが軽いO脚ですが、成長とともに自然に矯正されるため、ほとんどは心配いりません。但し、歩き始めた頃に極端なO脚になっているときは、くる病などの疾患の可能性があります。お子様の歩き方などが気になるときは、一度ご受診ください。
X脚
両膝が内側に弯曲した状態です。左右の膝の内側をそろえても左右の内くるぶしが接しないため、両足のくるぶしの間が開いてアルファベットのX(内股)に見えます。通常は2歳頃からX脚となり、7歳頃には成人の脚になってきますので、7歳以降のX脚には注意が必要です。
脊柱側弯症
体を前に倒したときに肋骨の高さの左右差を認める状態のときは、側弯症が疑われます。曲がりの程度がひどいようなケースでは治療が必要です。小学校高学年から中学校くらいの女子によく見られます。
発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)
先天的に臼蓋が低形成で股関節が不安定なお子様の場合、抱っこの仕方、足の向きなどにより脱臼に移行することがあります。男児には少なく、圧倒的に女児に多く見られます。股関節開排制限がある場合は精査を要します。また①女児、②骨盤位(いわゆる逆子)での出生、③大腿の皮膚のしわの左右差、④近親の家族の方に股関節疾患の既往がある方、 のうち2点を満たした場合は精査を要します。超音波、X線などを用いて精査を行い、脱臼を認めればリーメンビューゲル装具を用いた加療を早急に開始します。
強剛母指
1-2才で気づかれることが多い、母指の第1関節が屈曲してしまっている状態です。母指の付け根で腱が肥厚し腱鞘を通過できないことで生じると言われています。ストレッチ、装具などで加療を行います。改善しない場合は手術なども検討します。
オスグッド病
オスグッド病は、膝小僧の下にある骨が徐々に突出してくる病気です。激しい運動を長時間行ったりすると、膝の辺りが赤く脹れて痛くなります。患部を触ってみると、熱を持ったりもします。運動を休めば痛みは消えますが、スポーツを始めると再発します。発育期のスポーツ少年・少女に多く見られます。
小児骨折
成長期なるお子様は、学校や野外活動などを活発に行うことが多く、過度な力がかかって骨折することもあります。そのようなときに、お子様の骨は柔らかいのでポキリと折れず、千歳飴が曲がったような状態になります。こういった骨折を若木骨折と呼び、手首の骨折の際によく見受けられます。外から見て手が曲がってしまっていても、触らなければあまり痛がらないことも多いため、乳幼児の場合は特に注意が必要です。
骨が成長する時に伸びる部位(骨端線)を骨折すると、骨の成長が止まったり、変形をきたしたりすることがあるので、早めに治療を受けるようにしましょう。また、将来の変形変化が生じることがあるため、当院では成長に合わせて経過を診ていくことを心がけています。